「三枚のお札」は本州の各地に伝えられている民話です。詳細は地方により異なりますが、山中で出会った山姥から逃げるお話で、山に入った小僧さんが、山姥に出会い、和尚さんにもらったお札を使って逃げる、という内容です。
さて 宮古にもよく似た民話が伝えられています。
「三つの玉」
むかし、ある若者が、作物の作り方や、牛馬の飼い方を教えてもらおうと旅に出ました。村はずれの坂道を歩いていると、おじいさんがヨロヨロと歩いています。若者は気の毒に思って声をかけました。「大丈夫ですか?背負ってあげましょう」若者がおじいさんを背負って、坂道を登り終えると、おじいさんはお礼に三つの玉の入った包みを若者に渡しました。「旅の途中、困ったことがあったら、この玉に息を吹きかけて一つずつ投げるがよい」3つの玉は水の玉、山の玉、火の玉でした。
若者はさらに旅を続けました。日が暮れてきたので、宿を捜そうとすると、山の中の一軒家が目に付きました。中からはおばあさんが出てきて快く若者を招き入れてくれました。しかし家の中は生臭い臭いが充満しています。部屋には、骨がころがっていました。このおばあさんは、山に迷って訪ねてきた旅人を殺して食べてしまう、やまんばだったのです。
「大変だ」若者は一目散に逃げ出します。「待て、逃がさんぞ」やまんばは、大きな棒を振り回して追いかけてきます。
ここで若者はおじいさんにもらった三つの玉のことを思い出しました。3つのうち1つの玉を袋から出し、息を吹きかけると、やまんばの前に大きな川ができ、轟音を立てて流れていきました。
しかし、やまんばは激流をものともせず、追いかけてきます。若者は2つ目の玉を取り出して、息を吹きかけました。すると、アダン林とサルカ山が出現しました。それでもやまんばは、刺々のサルカ山を踏み分けて追いかけてきます。若者は、最後の玉を取り出して息を吹きかけました。すると、やまんばの前に大きな火の玉ができました。やまんばは火だるまになって焼け死んでしまいました。
こうして若者は旅を続けることができました。いろんなことを学び、ふるさとに帰るとよき指導者となり、村人たちも導いていったそうです。