雨の神さま

「雨の神さま」

 むかしむかし、伊良部島に漁師が住んでいました。漁師が浜辺に行くと、空の方から何やら不思議な声が聞こえてきました。 「竜宮の神よ、そろそろ雨を降らせなさい」どうやら天の神さまが、竜宮の神さまに命令しているようです。竜宮の神はたちまち風を起こし天に舞いあがらせ、大粒の雨を降らせました。漁師はこの様子を見て、なるほどこうして雨が降るのかと、感心して帰りました。  それから島には何日も雨の降らない日が続きました。困った村人の前に漁師は言いました。
「私が雨を降らせよう」その見返りに宝物を要求したのです 。島の人たちは、わらにもすがる思いで漁師にお願いしました。 漁師は浜辺に出て、天の神さまの真似をしました。「竜宮の神よ、雨を降らせなさい」竜宮の神は早速雨を降らせました。漁師は村人たちから食べ物や宝物をたくさんもらいました。
 しかしこのことは、天の神さまと竜宮の神さまにばれてしまいます。怒った神さまは長い間、雨を降らせませんでした。 困った島の人たちは 、漁師にもう1度雨を降らせるよう頼みました。欲深い漁師は、また浜辺に出て「竜宮の神よ、雨を降らせなさい」と天の神さまの真似をしました。すると、海の中から竜の姿に身を変えた竜宮の神さまが現れ、漁師に襲いかかりました。漁師は命からがらクバマ御嶽に逃げ込みました。そのことがさらなる怒りを買い、竜宮の神は、漁師の住む伊良部元島に、病をはやらせむ村を滅ぼしてしまいました。

 欲深い漁師のとばっちりを受けた島人がかわいそすぎるお話でした。この病はマラリアだということです……。 皆さん、神さまを騙しちゃいけませんよ。それとうますぎる話には要注意ですね。  もともと山も川もない宮古島は、雨水が頼りでした。政策によりマラリアの 有病地に開拓させられたという実話も見え隠れします。

それでは雨乞いの唄をお聞きください

雨乞いのクイチャー

http://www.nhk.or.jp/churauta/database/data/690.html http://www.nhk.or.jp/churauta/database/data/689.html

雨乞いのアーグ (宮古島城辺)

http://www.nhk.or.jp/churauta/database/data/679.html